MONSOONED MALABAR AA

(モンスーンド・マラバール)

 まだ帆船の時代、コーヒーをインドからヨーロッパの港まで輸送するのに約半年かかりました。この長い航海中に、船倉に保管されたコーヒー豆は船倉の湿気で緑色から黄金に変わり、独特の香味を持つようになりました。そして多数の国で、このコーヒーを見るとインドを想起するようになりました。

 時は帆船の時代から蒸汽船の時代に変わり、スエズ運河が開通すると、インドからヨーロッパまでの航海日数は大幅に短縮され、このコーヒーは姿を消しました。

 しかし、インドコーヒー独特の香味を懐かしみ、黄金色のコーヒーを求める声は日増しに大きくなりました。インドはこの要望に応えるために5〜6月に吹く南西のモンスーン(貿易風)を利用したモンスーン・コーヒーの生産を始めました。

 アンウォッシュド・アラビカ・コーヒーを風通しの良い倉庫で4〜6インチの厚みで拡げ4〜5日乾燥させます。そして周囲の湿気にコーヒーが均等に晒されるよう時々かきまぜます。その後、袋に詰めて幾つもの列に並べます。列と列の間は充分に拡げてモンスーンがコーヒーの列の間を絶え間なく、均一に吹き抜けるようにします。週に一度くらいの割で、コーヒーを袋から出して詰め換え、あるいは袋の列を並び変えます。こうして6〜7週間経つとコーヒーは黄金色に変わり、独特の香味を持つ完全に「モンスーン化」したコーヒーになります。コーヒーはその後、船積みのため精製加工されます。

 モンスーン・コーヒーの輸出時期は10〜12月で、欧米の多数の国で愛飲されています。